売上機会を逃さない営業プロセス分析の導入手順

なぜ営業プロセスの可視化が求められるのか

「商談はそれなりにあるのに、なぜか数字が伸びない」「営業現場からは"がんばっている"という声が上がる一方で、受注率やリードタイムの実態がつかめない」──製造業・金融業の経営層や営業企画の方からよく聞く悩みです。

実際に、CRM(顧客管理システム)やSFA(営業支援システム)を導入しても、個々の案件情報は見えても、営業プロセス全体のボトルネックは見えにくいままです。感覚的には「見積回答が遅い」「承認フローが長い」など課題は思い当たるものの、それがどの程度影響しているのか、データで示すのは容易ではありません。

そのため、こうした状況に対し、プロセスマイニングによる営業改善というアプローチが注目を集めています。本稿では、受注率とリードタイムを改善していく具体的な導入ステップを解説します。

営業プロセスの複雑化と「見えないムダ」

製造業・金融業の営業プロセスは、「リード獲得 → 商談 → 見積 → 契約 → 請求・入金」という一連の流れだけでは終わりません。

実際には、複数の承認者による稟議プロセス、顧客ごとの個別条件交渉、契約書のドラフト修正や法務チェック、システム間のデータ二重入力などが絡み合い、案件ごとに「寄り道」や「手戻り」が発生しています。

しかし、従来のヒアリングやフローチャートによる業務可視化では、こうした複雑さを正確に捉えることは困難です。一方で、プロセスマイニングによる営業改善は、CRMやERPなどのシステムに記録されたイベントログをもとに、実際にどのような順序で業務が進んでいるかを自動で描き出します。

最近の研究でも、顧客体験や営業に関するプロセスを対象にした応用が増えており、プロセスマイニング分野の第一人者であるvan der Aalstは、「多くの組織はOrder-to-Cash(受注から入金) などの販売プロセスにプロセスマイニングを適用している」と述べています。

最新ユースケースで見る営業プロセス改善のリアル

営業から入金までを見通したプロセス可視化のユースケース

営業活動から請求・入金までを含む Order-to-Cash プロセスにおいて、全体像が見えにくいと感じるケースは少なくありません。

たとえば、営業、受注、出荷、請求といった業務がそれぞれ別のシステムで管理されている場合、個別の業務状況は把握できていても、プロセス全体を通して「どこで滞留が起きやすいのか」「なぜ処理が遅れているのか」を把握するのは難しくなりがちです。その結果、必要以上の確認作業や承認ルールが積み重なり、リードタイムが長期化する傾向が見られます。

こうした状況に対して、プロセスマイニングを活用し、営業から出荷・請求までの流れを End-to-End で可視化することで、実際の業務データに基づいたプロセスの理解が可能になります。分析の過程で、業務上の安心感を目的として残っていたものの、実際には大きな効果を生んでいない承認やブロック、手作業のチェック工程が見えてくるケースもあります。そこで、ルールや業務フローの整理・標準化を進め、一部の工程を自動化することで、業務の流れをよりシンプルにすることが検討されます。あわせて支払い条件や運用ルールを見直すことで、後続工程の滞留を抑えやすくなることも期待されます。

その結果として、Order-to-Cash 全体のリードタイムが短縮される傾向が見られたり、請求から入金までの流れが安定するなど、プロセス全体のスムーズ化につながる可能性があります。プロセスを部門単位ではなく横断的に捉え、「どこがボトルネックになりやすいのか」をデータをもとに確認できることが、改善検討を進めるうえでの後押しとなる――そのようなユースケースです。

営業プロセスを分析する仕組み

対象となるデータ

営業プロセスでプロセスマイニング による営業改善を行う際に扱う主なデータは、案件ID、活動名、タイムスタンプ、担当者、部門、金額などです。これらはCRM、SFA、ERP、契約管理システムなどに「イベントログ」として蓄積されています。

可視化と改善提案

Celonisでは、プロセスエクスプローラー機能を用いて、収集したイベントログから営業プロセスの実態を自動で描き出します。

重要なのは、「理想的な流れ」だけでなく、実際に発生しているすべてのバリエーションが可視化されることです。さらに、各ステップ間の平均リードタイムや、ステップごとの離脱率などが自動集計されます。

加えて、AIを用いてプロセス上のボトルネックを自動検知し、改善アクションを提案・実行できます。例えば、一定金額以下の注文についてはクレジットブロックのルールを見直す提案を自動で行ったり、見積提出から一定期間フォローがない案件に対して営業担当にリマインドを行ったりできます。

AI分析と改善提案の仕組み

導入の実践ステップ

STEP1:テーマ設定

まず、「何を改善したいのか」を明確にすることが重要です。受注率の向上、リードタイムの短縮、失注理由の可視化などが代表的なテーマです。

STEP2:スコーピング

次に、受注~出荷(Order-to-Cash)の一部分など、効果が分かりやすく、関係者が納得しやすい範囲を選びます。

STEP3:データ連携

CRM、ERP、ワークフローシステムなどからイベントログを取得し、案件単位に統合します。

STEP4:可視化とボトルネック特定

データがプロセスマイニングツールに取り込まれると、自動的にプロセスフローが描かれます。感覚的な仮説を、「どのステップで何日・何%のインパクトがあるか」という具体的な数字に落とし込みます。

STEP5:実行とモニタリング

改善施策を継続的にモニタリングし、PDCAサイクルを回します。Celonisでは、リードタイムや初回完了率などの指標をリアルタイムで追跡できます。

導入プロセスの全体像 | 可視化から実行まで

よくあるご質問

Q1. 最初のスコープはどこがよいですか?

受注率とリードタイムへの影響が分かりやすいOrder-to-Cashの一部がおすすめです。リード/商談 → 見積 → 受注といった区間を対象にすると、改善の前後で定量的に示しやすくなります。

Q2. データ品質が不十分でも進められますか?

完璧なデータから始める必要はありません。実際に、最初の分析でデータ品質の課題が可視化され、これが「改善の出発点」になります。

Q3. 営業現場の負荷が増えるのでは?

既存の業務システムに蓄積されているログを活用するため、新しい入力作業は最小限です。むしろ、入力項目やフローの見直しが進み、営業現場の負荷が下がるケースが多く見られます。

まとめ:営業の「感覚」を、データで裏付ける時代へ

重要なポイントは、営業プロセスは「人の勘と経験」に頼らざるを得ない領域だからこそ、データに基づく可視化が差別化要因になること、プロセスマイニングを活用した営業プロセスの改善は「売上機会の回復」「受注率向上」といったトップライン改善にも直結すること、小さなスコープから始め、段階的に拡張していくことが成功の鍵という3点です。

もし、「リードはあるのに受注率が頭打ち」「見積から受注までのリードタイムが長い」といった課題が思い当たるようであれば、プロセスマイニングによる営業プロセス分析を、次の一手として検討する価値は十分にあります。

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おわりに:

自社の営業プロセスでプロセスマイニングを試してみたいと感じられた方に向けて、無料ディスカバリーワークショップをご用意しています。

ヒアリングと簡易データをもとに改善ポテンシャルを試算し、受注率・リードタイムなど、貴社にとって重要なKPIへのインパクトをシミュレーションします。貴社の営業現場が抱える"見えないムダ"を、データで可視化していきましょう。

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